近畿教育オーディオロジー研究協議会
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飾り 会長挨拶

 近畿教育オーディオロジー研究協議会会員の皆様におかれましては、日頃よりそれぞれの教育現場、相談機関、研究機関において、聴覚障害教育ならびに教育オーディオロジーの発展に多大なるご尽力を賜り、心より敬意と感謝を申し上げます。
 このたび、山本幸生前会長の後任として本研究協議会会長を拝命いたしました、兵庫県立姫路聴覚特別支援学校校長の佐野美穂でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。先達の先生方が積み重ねてこられた実践と研究の歩みは、今日の教育オーディオロジーの基盤を形づくっており、本研究協議会はその知見を次代へとつないでいく役割も担っております。近畿地域を中心に、聴覚障害児教育における聴覚管理、補聴器フィッティング、聴覚学習などの教育活動を「教育オーディオロジー」として確立・発展させることを目的として、近畿地区の教育機関が連携し、研修および研究を行ってまいりました。現在は、「緩やかに」「つながり」「継続する」をキーワードに、年3回(夏・秋・冬)の学習会・講習会・講演会の開催や機関紙の発行に取り組んでおります。多様な「きこえ」の子どもたちが主体的に学び、周囲と豊かにつながるための環境を整えることは、時代がいかに移り変わろうとも、私たちの使命であり続けると考えております。その積み重ねによって、子どもたちは一人ひとり異なる「きこえ」をもちながらも、主体的に授業へ参加し、学校生活の中で友人との豊かな対話を育み、自らの「きこえ」への理解を深め、それぞれに適した方法で自己を表現し、将来の姿を思い描きながら社会参加へと歩んでいくことができるものと考えております。
 近年、子どもたちを取り巻くテクノロジーの進化には目覚ましいものがあります。デジタルワイヤレス補聴援助システム(ロジャー等)の高度化に加え、AIを活用したリアルタイム文字通訳アプリの普及、GIGAスクール構想による一人一台端末の活用など、情報保障の選択肢は飛躍的に広がりました。しかし、どれほど優れた機器やシステムが登場しても、それを子どもの発達段階や一人ひとりの「きこえ」の状態、さらには教室の音環境に応じて適切にコーディネートし、現場の教員と連携して運用していく「人」の存在が不可欠です。また、一人ひとりの子どもたちには個別のニーズがあり、実際の教育現場では理論だけでは解決できない場面に直面することも少なくありません。専門的な知見をもって現場を支える、私たち教育オーディオロジーに携わる者の役割は、これまで以上に重要になっているといえます。また、これらの技術革新の中には視覚情報への依存度が高いものも多く、多様な「きこえ」の子どもたちにとっては視覚的な負担の増大につながる可能性があり、新たな配慮が求められています。
 また、インクルーシブ教育システムの構築が進められる中、在籍校と聴覚特別支援学校が、通級による指導、教育支援センター、学校間交流事業などを通して、どのように手を取り合い、一貫した支援を届けていくかという「地域連携」も大きな課題です。本研究協議会が、学校種の垣根を越え、さらに医師、言語聴覚士、補聴器関係者、そして保護者の皆様を結びつける契機となるプラットフォームであり続ける意義も、まさにここにあると考えております。
 今年度も8月19日、20日に大阪にて、総会ならびに講演会・講習会を予定しております。1日目は講座T・U・Vに分かれ、参加者の皆様がそれぞれの関心に応じて学べる構成とし、2日目には大学から講師の先生をお招きして講演会を開催する予定です。聴覚支援に関する素朴な疑問を解きほぐす手がかりから、日々の実践から導き出された貴重な研究成果、明日の指導に生かせる具体的な実践報告まで、充実した内容となっております。この会に参加いただく皆様が、新たな気づきや実践への示唆を得て、それぞれの地域や目の前の子どもたちへ還元してくださることを切に願っております。
 本会は、若手教員の育成という使命も担っております。子どもたちの「きこえ」に関心を持ち、より良い教育環境を整え、充実した教育活動を展開したいと願う先生方は数多くいらっしゃることと存じます。本研究協議会に集うことを通して、日々の実践の中で抱く疑問や課題に対する新たな視点や気づきを得られるものと考えております。そうした学びの積み重ねが、明日の聴覚障害支援教育の一歩へとつながっていくことを願っております。どうぞ本研究協議会の輪をさらに広げ、より実りあるものとしていくことができますよう、皆様のご支援とご協力をお願い申し上げます。
 結びに、本研究協議会の活動を支えてくださる役員・関係者の皆様に深く感謝申し上げますとともに、会員の皆様のますますのご健勝とご活躍を祈念し、巻頭のご挨拶といたします。

令和8年6月
近畿教育オーディオロジー研究協議会 会長
佐野 美穂(兵庫県立姫路聴覚特別支援学校長)